知ればもっとキレイになれる?あのコスメブランドの社名由来

コスメブランドの名前の由来などを写真つきで口コミ報告中。

資生堂、花王、エスティローダーにランコム。

化粧品会社って本当にたくさんありますよね。一見どうってことないように思えますが、化粧品会社やコスメブランドの社名には、それぞれ意味があるのです。

今回はおなじみブランドの会社名の由来を紹介しましょう。

出発点は薬局。中国の古典から引用した「資生堂」

中国の古典から引用された資生堂のブランドネーム。

「資生堂」の名前は、中国の古典「易経」の一説、「至哉坤元 萬物資生」、つまり読み下し文にすると、「至(いた)れるかな坤元(こんげん) 万物(ばんぶつ)資(と)りて生ず)」という文に由来しています。

「大地の徳は何とすばらしいのだろう。すべてのものはここから生まれる」という意味だそうです。

名づけ親は、創業者である福原有信(ふくはらありのぶ)氏。幕末に生まれた彼は西洋薬学を学び、明治に入ると銀座に日本初の西洋式薬局「資生堂」を開きました。当初はいわゆる薬局でしたが、1897年に初めての化粧水である「オイデルミン」という商品を作ります。

その後、跡継ぎの信三(しんぞう)氏によって、本格的に化粧品事業へと転換。信三氏は資生堂のシンボルマークである花椿を自分でデザインしたり、他の企業に先駆けて社内に「宣伝部」というものを作ったり…と、現在に至る大きな基礎を作り上げた偉大な2代目でした。

発祥の土地名がそのまま残る「カネボウ化粧品」

東京都墨田区の「鐘が淵」で生まれたカネボウ化粧品。ブランドロゴはこんな感じです。

東京都墨田区に「鐘が淵」という場所があります。伊藤博文が生きていた時代の1887年、つまり明治時代に、紡績会社がここに作られました。これがカネボウ化粧品のネーミングのルーツ。

「鐘ヶ淵紡績株式会社」から「カネボウ株式会社」になり、戦後も多角経営によって発展していきます。

カネボウ株式会社の事業内容は、繊維だけでなく、薬品事業から衣料品まで実にさまざまでした。スポーツファッションブランドとして有名な「FILA」も以前はカネボウが扱っていましたし、薬品では漢方薬でかなりのシェアを占めていたのです。

ところが、1990年代後半からの経営不振と粉飾決算からカネボウは解散。化粧品事業は花王へ売却され、他の事業は「クラシエ・グループ」として引き継がれます。現在でもシャンプーなどの日用品や漢方薬で「クラシエ」というブランドが残っていますよね。

ちなみに「クラシエ」という名前は、「カネボウ」という名前が化粧品事業のみにしか使えなくなってしまったために、企業内公募によって選ばれました。「健やかで快適な楽しい暮らしへ」という願いが込められているそうです。

「顔」と同じ響きをもつ名前にした「花王」

花王化粧品のブランドロゴはこんな感じ。

花王の出発点は1887年、つまり偶然にも鐘ヶ淵紡績会社が作られたのと同じ年。創業者の長瀬富郎(ながせとみろう)氏は石鹸や文房具などを輸入して扱う商店を開いたのですが、当時の輸入石けんはとても高く、庶民が買えるようなものではありませんでした。

そこで、富郎氏は安くて質のいい、しかも国産の石けんを自分で作り始めます。しかし、問題は商品名でした。当時の日本は、洗濯用の石けんを「洗い石けん」と呼び、顔を洗うための石けんを「顔石けん」とか「化粧石けん」とか呼んでいたのです。

「顔石けん」ではちょっと生々しい…と思ったのかどうかはわかりませんが、富郎氏はほかの名前をあれこれ考え始めます。「顔(カオ)」と同じ響きをもつ「華王石けん」や「香王石けん」「花王石けん」などが候補に挙がったそうです。

そして最終的に決まったのが「花王石けん」。それがそのまま、社名として引き継がれたわけです。現在では、トイレタリー用品では日本トップ、化粧品でも2位を誇る大きな会社になっています。

自分の名前と「誠実」を掛け合わせた「コーセー」

小林孝三郎が作ったコーセー化粧品。ブランドロゴはこんな感じ。

昭和21年、小林孝三郎(こばやしこうざぶろう)氏は、勤めていた化粧品メーカーを辞めて自分の会社を立ち上げます。これがコーセーの始まりです。

社名については、当初は「ビリオン」という、今とはまったく違う名前を考えていたという説があります。ところが「ビリオン」がすでに社名登録されていたために、孝三郎氏の「考」と、誠実の「誠」を組み合わせた「コーセー」という名前にしたのだそうです。

ちなみにローマ字表記するときは、単に「KOSE」ではなく、正しくは「KOSE」。ローマ字のEの上につづり字記号がついています。これは海外の人に「コウズ」と間違えて読まれないように、との配慮とか。

設立以後、1956年には「株式会社アルビオン」を設立したり、フランスロレアル社と提携したりと、コーセーは大きく発展していきます。ちなみに2代目から現在4代目の一俊(かずとし)氏に至るまで、コーセーの社長は孝三郎氏の息子や孫がつとめています。

世界最大の化粧品会社「ロレアル」はヘアケアが出発点

ロレアル化粧品は世界一の化粧品会社。ロレアルパリのブランドロゴはこんな感じ。

「ロレアル」というと、ヘアケア製品のイメージしかないかもしれませんね。でもその実態は世界最大の化粧品会社。「ランコム」「ヘレナ ルビンスタイン」「メイベリン ニューヨーク」「シュウ ウエムラ」などなど、世界で人気化粧品ブランドを傘下に収めているからです。

とはいえ、そもそもの出発点はやっぱりヘアケア製品でした。第一次世界大戦前の1907年、フランスの化学者ウージェンヌ・シュレール氏が、世界で初めてヘアダイ、つまりカラーリングの商品開発に成功したのがきっかけです。その名も「オレアル(Aureole)」という商品名。

「オレアル」というのは造語ですが、「天使の輪、後輪」という意味の「Aurum」に由来しているといわれています。髪の毛に光が当たったときの様子をイメージしたわけですね。社名のロレアルは、正しくは「L’Oreal」と書きますが、この「オレアル」が転じて名づけられたものでしょう。

フランスにある古城から名づけられた「ランコム」

ランコムはお城の名前からきているんですって。

ちなみに、上記でも紹介した「ランコム」は若い女性に人気のブランド。ランコムはもともと香水を取り扱っていたアルマン・プティジャン氏が、第二次世界大戦前、1935年に化粧品ビジネスに進出したことがきっかけで大きく成長しました。

名前の由来になったのは、フランス中部にある古城、ランコム城。常々「フランス文化を世界中に広めたい」と思っていた彼は、自分の愛する美しい城のイメージを、そのままブランド名にしたのです。

創設者の名前がブランド名になった「エスティ ローダー」

エスティローダーのブランドロゴはこんな感じ。

ロレアルグループにつぐ規模といっても過言ではない、世界でも大手の化粧品グループが「エスティ ローダー グループ」。「クリニーク」「アヴェダ」、「M・A・C」や「オリジンズ」など、人気のブランドを傘下にもっています。

そのなかでも中核をなすブランドは、いうまでもなく「エスティ ローダー」。社名の由来は、ずばり創設者の名前です。ジョーゼフ・ローダー、エスティ・ローダーのふたりが、終戦の翌年、1946年にニューヨークで化粧品を売り出したのがきっかけでした。

当初はパックとクレンジング、ローションなどなど数点のアイテムしかありませんでしたが、わずか2年で名門デパートの「サックス・フィフス・アベニュー」にコーナーが作られるまでになります。以後はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いで販売を伸ばし、1967年には日本にも進出します。

美容医療のイメージ戦略が特徴の「クリニーク」や、自然派を売りにした「オリジンズ」など、70年代から90年代にかけて特徴あるブランドを次々と投入し、その後も大きく成長していったのです。

それぞれの会社の考え方が少しわかるかも?

いかがでしたか?私たちが今目にしているのは、会社として大きく成長した姿ですが、それでも最初の出発点は小さなものでした。社名には、創設者たちの思いがそれぞれ込められているのです。

もちろん単なる雑学ですし、社名の由来を知ったからといって何がどうというわけではありませんが…それでも、そのルーツを知ると、その会社の考え方や、買ってくれる人へのポリシーがわかる気がしますよね。

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