値段の高さには理由がある…「コスメ憧れブランド」の歴史とは?

値段の高さには理由がある…「コスメ憧れブランド」の歴史とは?のトップ記事。憧れのスキンケアコスメをピックアップ。

資生堂のクレ・ド・ポー ボーテ、カネボウ化粧品のインプレス グランミュラ、SK-ⅡのLXPライン…などなど、高くて手が出ないけど一度は使ってみたい!っていう憧れブランド、けっこうありますよね。

そういったブランドは、作られた背景や成り立ちに特徴あるところも少なくありません。そこで今回は、ラグジュアリーブランドのなかでも、特に代表的なあの3つのブランドについて、ご紹介します。

最高品質のラグジュアリーを目指した「コスメデコルテ AQ」

初めは「コーセーのなかの高級ライン」という位置づけ

1970年に誕生したコスメデコルテ。最初は高級な化粧品という扱いでした。

「コスメデコルテ AQ」の本流ブランドは、いうまでもなく「コスメデコルテ」。コスメデコルテが誕生したのは、今から45年前、1970年のことです。

おなじみブランド、あのコーセーの「特別で高級なブランド」という位置づけでした。現代風にいうなら、トヨタがレクサスを作ったようなものです。

当初のコスメデコルテがどのくらい「特別で高級」だったかというと…平均的な当時の大学初任給が月4万円に対し、コスメデコルテのクリームは3万円、フェイスパウダーに至っては約12万円。ちょっとびっくりするほどの高級品ですよね。

1970年台に発売されたコスメデコルテ本商品はこちら。

販売方法も少し変わっていて「品質が本当にわかる人に使ってほしい」という思いから、広告や宣伝はいっさい行わず、ごくごく限られた店舗にしか置かないというこだわりでした。

ではどうやって知られるようになったのかというと、一流ホテルの一室を借り切って、限られた顧客向けのサロン会を開いたのです。

ただ、そのサロン会ではいっさい販売はしない。…すると、その効果と使い心地のよさを知った女性たちが、コスメデコルテを置いている店舗をわざわざ探して買いに来る、という現象が起こるようになります。

コスメデコルテから「コスメデコルテ AQ」が誕生

コーセーの中の高級なラインとして販売されているコスメデコルテ。そのコスメデコルテよりも高級品として販売されたのがコスメデコルテAQとなります。

そのかいあって、「コスメデコルテ」の名前は高級ブランドとして知られるようになり、店舗数も増えていきました。

しかし、その後は手頃な価格帯の商品が他のブランドからも次々と発売されたこともあり、コスメデコルテのイメージは「特別で高級」から「ちょっと高いけど買えないことはないブランド」へと変わっていきます。

それを大きく変えよう!と思ったかどうかはわかりませんが、コスメデコルテは1990年、ブランド内にさらにラグジュアリーなラインを立ち上げます。

それが「コスメデコルテ AQ」。ちなみにAQとは「Absolut(究極の)」「Quality(品質)」の頭文字と「永久」をかけたものです。

AQのラインは、使用実感もちろん使い心地、容器の美しさ、原材料にまで徹底してこだわっているのが特徴で、たとえば化粧品を作るうえで使われる水は、すべて植物からの蒸留水が使われているともいわれています。

「5万円超えのクリーム」を先駆けて発売

コスメデコルテ30週年を記念して販売されたクリーム。現在ではコスメデコルテ AQ ミリオリティ インテンシブ クリームとして販売されているそうです。

2000年には、コスメデコルテ30周年を記念して、AQのラインからクリームを発売します。価格は何と当時で約10万円! 当時の高級クリームはどんなに高くてもせいぜい5~6万円でしたから、驚きとともに市場に迎え入れられました。

値段が高すぎて全然売れなかった…なんてことはもちろんなく、着実にファンを増やし続け、今では「コスメデコルテ AQ ミリオリティ インテンシブ クリーム」として12万円で販売されています。

破格の値段設定に驚く人も少なくありませんが、それは「品質に徹底的にこだわっている」という自信の表れでもあります。価格に見合うだけの本当のよさがわかる女性たちに、ずっと愛され続けてきたのです。

現状に満足せず、常に進化を繰り返す「ポーラB.A.」

出発点は「妻のために作ったクリーム」だった

ポーラ創業者が使っていた乳鉢。

肌の老化を左右する「糖化」に着目したラインとして定評ある「ポーラ B.A.」。化粧水や乳液が2万円以上もする、ポーラのなかでも最高級のラインです。

ポーラの歴史は古く、90年近くも前、つまり戦前にさかのぼります。創業者したのは鈴木忍氏。妻の手の肌荒れがあまりにもひどく、それを治すためにクリームを作ったのがきっかけでした。

戦前鈴木氏は、まとめて作ったクリームを自転車の荷台に乗せ、顧客に説明しながら量り売りをしていたそうです。

その後、ポーラは戦後の混乱を乗り越えて一大ブランドとして成長しますが、80年代に入ると、「細胞の働き」に着目した本格的なエイジングケアの研究を始め、やがてその研究結果を理論としてまとめあげます。その理論には「バイオアクティブ理論」という名前がついていました。

ポーラBAラインのイメージ画像。黒豹のイメージです。

その理論を応用して作ったラインがポーラB.A.。「B.A.」とはつまり「バイオアクティブ」の略なのです。当時から品質の良さと破格の値段設定が注目を浴びていましたが、その後のリニューアルでもそれは変わりませんでした。

「タンパク質の糖化」に本格的に着目したラインへ

ポーラ創立77周年を記念して作られた美容液の使用感を報告中。

ラグジュアリーブランドとしての印象をさらに決定づけたのは、ポーラの設立77周年を記念してB.A.ラインから販売された美容液。2006年当時、何と7万円以上の価格でした。にもかかわらず、使い心地のよさと確かな肌実感が評判を呼び、その年の大ヒット商品になります。

その後、2009年のリニューアルを経て、「細胞の働き」から「タンパク質の糖化」に着目したラインへと生まれ変わります。「糖化」に本格的に着目したラインは当時とても少なかったため、これもまた評判になりました。

そして2015年には、「糖化」に加え、「胎児期に肌が作られるメカニズム」に着目したラインへとさらにリニューアル。1985年にポーラB.A.が誕生してから30年、他のラグジュアリーブランドに比べるとリニューアルの回数が多いのもこのラインの特徴です。

それはその時々の最先端技術を応用するブランドとして進化し、大切に育てられてきたことの証でもあります。私たちが今現在見ることができるのは、初代から数えて5代目のポーラB.A.にあたります。

世界中にファンが多い「パルファン・クリスチャン・ディオール」

スタートは「洋服の超高級ブランド」と「香水」

香水から始まったクリスチャンディオール。

シャネル、パルファム・ジバンシイ、イヴ・サンローラン パルファンなど、外資系コスメブランドには、洋服のメゾンブランドから出発したものが少なくありません。パルファン・クリスチャン・ディオールもそのひとつです。

よく、略して「クリスチャン・ディオール」といわれることもありますが、化粧品の場合はパルファン、つまり「香水」という意味の単語がついているのが正しいブランド名。どうしてかというと、コスメブランドとしての出発点が香水だったからです。

クリスチャン・ディオール氏が自身のファッションブランドを立ち上げたのは1946年のこと。翌1947年に初めてのコレクションを発表しますが、それと同じタイミングで香水を発表したのです。

どうして香水だったのかというと…ヨーロッパでは、香水こそが古くから王族や貴族にとって必須の超高級アイテムだったからです。ステイタスあるブランドを目指すディオール氏にとって、洋服の次に絶対に作らなければならなかったのが香水でした。

ちなみに…「まず洋服、そして香水という流れから始まった」という点ではシャネルやパルファム・ジバンシイなども同じ。これらのブランドの香水は、今でも世界的にとても有名ですよね。

オートクチュールブランドとして初の口紅を発表

オートクチュールブランドとして初めて口紅を販売したのがディオールなんだそう。

では、ディオールが化粧品を発表したのはいつなのか…というと、ブランド設立から10年近くあと、1954年のことでした。ただ、日本のコスメブランドと違うのは、メイクアップ製品である口紅が最初だったという点です。

最初に発売されたのは口紅が2種類。まるで高級な置物のような大きなクリスタルケースに収まったリップと、ハンドバッグに収まるゴールド&シルバーのコンパクトなリップでした。

なぜまったくタイプが違う2種類を発表したのかというと、「家でも外出先でも常に美にこだわったアイテムを持ち歩いてほしい」というディオール氏の女性への願いが込められているのだそうです。

ちなみにオートクチュールブランド、つまりパリでも一流と認められているファッションブランドが、口紅を発表したのは当時初めてのこと。当時はかなりの話題になったといわれています。

ディオールスキンケアの代名詞「カプチュール」誕生

ディオールの代名詞とも呼ばれているカプチュール美容液はこんな感じ。

スキンケア製品の開発に本格的に乗り出したのは日本のブランドに比べると比較的最近で、1973年になってから。フランス・オルレアンの郊外に独自の研究所を作り、肌の仕組みや処方に関する研究をスタートさせます。

その結果ともいえるのが1986年に初めて発売された美容液、「カプチュール」。この美容液は世界的な大ヒット商品になったこともあって、その後何度かリニューアルされ、さらにはディオールのスキンケア製品の代名詞になりました。

そのため今でも、ディオールには「カプチュール トータル」「カプチュール リフト」などなど、ディオールにはカプチュールという名前がそのままブランドになっているスキンケアラインが複数あります。

いつまでも私たちの憧れブランドでいてほしい!

いかがでしたか? ひとくちにラグジュアリーブランドといっても、その背景や成り立ちは実にいろいろあるのがわかりますね。

いずれにしても「最高級ライン」の名前に恥じないものを送り出そうと、どのブランドも懸命な努力をし続けた結果誕生し、今でも愛され続けているとは間違いありません。いつかはその品質や使い心地を、ぜひ肌で堪能してみたいですね。

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