冷蔵庫で保管するのはOK?化粧品の正しい保存方法と保管場所

基礎化粧品の正しい保存方法を考えてみました。どこに置くのがベストですかね。

皆さんは化粧品をどこに保管していますか?

化粧品を購入する時は店頭で試してみたり、口コミで評判をチェックしたりと熱心ですが、購入後の保管方法はあまり気にしていない方が多いのではないでしょうか?

美肌のために必要な化粧品ですが保存方法が間違っていると酸化したり、菌が繁殖したりして逆に肌に負担をかけてしまうこともあります。また、冷蔵庫に保管している方もいますが果たして冷蔵保存は正しいのでしょうか?

今回は、意外と知らない、化粧品の正しい保存方法についてご紹介します。

化粧品を冷蔵庫で保管すると本当に長持ちするの?

長期保存が出来る、冷たい方がすっきりする、という理由で化粧品を冷蔵庫に保管している方がいます。

確かに夏の間などはお風呂上りに冷たい化粧水をつけると毛穴が引きまってスッキリしますよね。それに冷蔵庫の中で保管した方が長持ちするイメージもあるのではないでしょうか?

一見良さそうに思える保管方法ですが、実は冷蔵庫の中に保存するのはNGです。

化粧品の冷蔵がダメな理由を写真つきで紹介していきます。

化粧水を冷蔵庫に入れると結晶化してしまう

化粧品の効果的な保存方法が冷蔵庫では無いことを紹介しました。

例えば、化粧水はその液体の中に様々な美容成分が混ざり合っています。冷蔵庫で急激に冷やすことによって、その中の成分の一部が結晶化されてしまうのです。

冷蔵庫に化粧水を保管していたら透明だった液体が薄く濁ってしまったことがありませんか?これは結晶化されて色が濁ってしまったのです。

結晶化されている化粧水を肌につけるとお肌を傷つける危険があります。さらに一部の成分は結晶化されたままなので有効成分が肌に浸透せず、効果が薄くなってしまいます。

特にビタミンC配合の化粧品は温度変化により結晶化しやすくなるので冷蔵存保存は避けた方がいいでしょう。

常温でそのまま放置しておけば結晶はやがて溶けて、元の透明な化粧水に戻ります。しかしこの結晶化が何度も繰り返されると品質の劣化が早まってしまいます。

冷蔵庫に入れると分離する?乳化と分離の仕組み

乳液やクリーム類は冷蔵庫に入れると、分離してしまうことがあります。そもそも乳液やクリーム類などの水分と油分、両方を含んでいる化粧品は「乳化」している状態なんです。乳化とは、通常では混ざることのない水と油が攪拌によって混ざっていること。

しかし一見混ざり合っているように見えても、実は一方がほかの液体の中に(例えば油が水の中に)微粒子状となって分散しているだけなのです。この状態は時間とともに元の状態(水と油)に戻ってしまいます。

つまり、化粧品の中の水分と油分の分離は時間の経過とともに確実に起こるのも。しかし温度の変化により、その速度が速くなることがわかっています。

冷蔵保存=長期保存可能になる訳ではない?

冷蔵存保存すると元々の状態が変化して、分離したり、結晶化したりと劣化してしまう可能性があることがわかりました。では、保存期間に変化はあるのでしょうか?

冷蔵保存すると保管期間が長くなると思う方もいますが、冷蔵保存=長期保存可能ではありません。冷蔵庫に入れておくと菌の繁殖を抑えられるだけであって、菌が無くなる訳では無いのです。

食べ物でもそうですが、冷蔵庫に保存していても賞味期限が長くなる訳ではありませんよね。化粧品も同じく、一度開封してしまったものは確実に劣化していきます。

化粧品を冷蔵庫に入れるデメリットをまとまると
・化粧水などは一部が結晶化してしまい、肌に傷をつける可能性がある
・結晶化されたままの化粧水は効果が薄くなってしまう
・乳液やクリームなどの乳化されているものは気温差により分離が進む
・冷蔵庫に入れても保存可能期間は変わらない
ということがわかりました。化粧品にとって冷蔵庫の温度は低すぎるようです。

また、肌は冷やすよりも温めた方が美容成分が浸透しやすく、バリヤ機能もアップするというデータもあります。もともと化粧品は常温で効果が発揮されるようつくられています。特別な注意書きがない限りは常温で保管し、常温で使うのがベストと言えるでしょう。

常温とはいったい何度のこと?

オラクル化粧水には、直射日光にあたるところには、保存してはいけないむねが書かれていました。

よく化粧品のパッケージなどには「直射日光の当たらないところで保管してください。」とか「高温多湿を避け、常温で保管してください」などと注意書きがしてありますね。

つまり
・窓際の直射日光が当たりやすいところ
・暖房器具(ストーブなど)の近く
・お風呂場などの湿度の高い場所
・車の中などの外気の気温に左右されやすい場所
などは避けた方がいいでしょう。

更に「常温で保管」とありますが、この「常温」って具体的に何度のことなんでしょうか?

日本工業規格(JIS)では、常温を5度から35度の範囲として規定していて、日本の生活用品、食品などの製品はこの温度範囲を常温としています。つまり、5~35度の間であれば品質に問題なく保管できると考えてよいでしょう。

夏でも、家にいる時は冷房をつけたり、窓を開けて風通しを良くしたりしていますよね?ですから室内の涼しい場所であれば、問題ないでしょう。

以前アマゾンで販売されていたコスメクーラー。現在では販売が終了しているようです。

気になるようであれば最近ではコスメクーラーと呼ばれるミニ保冷・保温機もあります。もっとお手軽に利用できるのが発砲スチロールのボックスです。真夏日に1日中家を空けている時などはこの中に化粧品を入れておけば35度以上になることは避けられるでしょう。

しかし気を付けたいのが夏、旅行や出張などで数日家を空ける時です。こういった場合は数日間部屋の窓は閉め切ったまま、冷房も付かない状況が続きますので少し心配ですよね。

発泡スチロールに入れて保存もOK。急な気温変化が防げるはず。

発泡スチロールのボックスなどもない場合は冷蔵庫の中の野菜室に新聞紙やタオルなどにくるんで入れておくとよいでしょう。一般的に冷蔵庫の温度は2~5度、野菜室の温度は5~7度と少々高めに設定されています。

とはいえ、そのまま数日入れておくには低すぎる温度ですので、新聞紙やタオル等で包んで保存しましょう。

例外として冷蔵庫で保存してもよい化粧品

オイルフリーな処方で作られた化粧水は、冷凍しても大丈夫なようです。画像はオルビス美白化粧水。

基本的には化粧品は冷蔵庫で保管しない方がいいですが例外としてオイルフリーの化粧品があります。例えばオイルフリーの化粧水など、油分と乳化されていない物でしたら分離の危険性はありませんので冷蔵保存可能でしょう。

ただし、結晶化の可能性はありますので温度が低すぎることのないように新聞紙などにくるんで野菜室などに保存してください。

化粧品に入っている防腐剤の役割ってなんだろう?

ここまでで、化粧品は常温保存が可能ということがわかりましたが、一部例外もあります。オーガニック化粧品や手作り化粧品などの防腐剤が入っていないものは常温保存が難しいものもあります。そのような場合は商品の説明の通りに保管してください。

しかし、ほとんどの化粧品は常温保存が可能です。それは化粧品の中に防腐剤が入っているからです。「防腐剤」というと肌に悪いイメージがありますが、化粧品を安定して長期保存するためには必要な成分です。

例えば、防腐剤と聞いて思いつくのがパラベンですが、パラベンには少量で抗菌効果が期待できます。

また、パラベンにはエチルパラベンやブチルパラベン、メチルパラベンなど複数種ありますが、これを組み合わせることによって化粧品に入れる割合を少なくすることができます。

エチルパラベン、フェノキシエタノールなどが防腐剤として配合されているオバジ化粧水の成分表。

もう一つパラベンと同様、防腐剤としてよく使用されているフェノキシエタノールは、エタノールの一種で抗菌効果はパラベンに劣りますが、化粧品によくつかわれている成分です。最近では植物から抽出した成分を防腐剤として使っている化粧品も見かけます。

これらの成分は肌に有効に働くわけではありません。しかし化粧品には肌に有効な成分と、品質を維持するための成分が必要なのです。化粧品を長期間、安全に使えるようにするために最低量入っているのが添加物です。

使用中の化粧品の劣化をできるだけ防ぐために

化粧水や乳液、クリームなどの基礎化粧品類は朝晩のスキンケアで毎日使います。そのため、空気に触れて酸化したり、直接手で触ると手や顔にいる黄色ブドウ球菌などの常在菌が入り、容器内で細菌が繁殖する場合があります。

使用中の化粧品の劣化を防ぐために心がけたいことの1つ、クリームはスパチュラですくって使う。

・化粧水は容器の口を手で触れないように手と口の間を離して使用する
・クリーム類はスパチュラやへらを使い、直接手で触れないようにする
・キャップの蓋はきちんと閉めてできるだけ酸化を防ぐ
・ファンデーションのスポンジやパフ、ブラシなどはこまめに洗って、顔の皮脂が化粧品につかないようにする

ひとたび菌が侵入すればあっという間に増殖してしまいます。菌は肌トラブルの原因になりますので、以上のことに気を付けて、細菌類が化粧品に繁殖しないようにしましょう。

化粧品、特に基礎化粧品は肌をきれいに保つためのものです。間違った化粧品の保管で効果が薄れてしまったり、肌トラブルを起こさないように、保管する場所だけでなく、使用方法にも注意してくださいね。

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