プラセンタを用いた美容法とプラセンタ療法を女性医師が徹底解説!Part4-1:応用実践編

プラセンタを用いた美容法とプラセンタ療法を女性医師が徹底解説!Part4-1:応用実践編

プラセンタシリーズはPart4が最終回となります。といってもPart4の応用実践編は3部構成になっているので、実際には6回の連載ということになりますが…(笑)

これまでの3回「基礎知識編」「中級知識編」「美容活用法」で、プラセンタについての基本的な知識が増し、より深くご理解いただけたのではないかと思っております。

Part4の1回目は、実際にクリニックでプラセンタがどのように使われているかをご紹介する実践的な内容になっています。

「ん?これなんだっけ?」と思う部分がありましたら、Part1~3を読み返していただくのも良いかと思います♪

まだクリニックでプラセンタ療法を受けたことのない方はぜひ参考にしてみてくださいね。

プラセンタ医薬品

プラセンタ療法の説明をする前に、医薬品の定義について説明をします。少しむずかしい内容もありますが、できるだけわかりやすく解説したいと思います。

医薬品とは?

医薬品とは、いわゆる『効果』を持つ、あるいは効果が期待されるもの全てを指すのではなく、法律(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の第二条)により以下のように定義されています。

  1. 日本薬局方に収められている物
  2. 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。))
  3. 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
引用元:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

なんだか難しいですよね…。

簡単にいうと、機械・器具を除いて、人間や動物に対する病気の診断や治療、予防などの用途に使用可能である物質で、なんらかの影響を及ぼす「薬品」のことを指していると考えて良いでしょう。

成分はもちろん、効果や副作用について安全性や有効性の厳格な調査を行った後、厚生労働大臣や都道府県知事による認可のおりたものが医薬品となります。病院で処方される薬や、薬局で購入できる薬がこれに該当します。

難しすぎる医薬品の定義ですが、さらに医薬品の中にも分類があります。

医薬品の分類

広い意味では医薬部外品や化粧品も医薬品に含まれています。

医薬品の大きな分類

大体の分類がお分かりになったでしょうか?
さらに人間に対して使用される狭義の医薬品についての分類をご説明します。

医薬品の分類 医薬品の販売方法

医薬品は、効き目の強さや安全性などによって細かく分けられています。

医療用医薬品は2つに分けられていますが、ほとんどの場合、処方せん医薬品のことを指します。私たちが病院を受診して処方してもらう薬のことですね。

要指導医薬品は、ネットでの購入はできず、薬局やドラッグストアで必ず薬剤師から説明を受けなければなりません。

OTC医薬品は、英語の「Over The Counter(オーバー・ザ・カウンター)」の略語で、一般用医薬品のことをいいます。市販薬、大衆薬とも呼ばれています。

このうち、最も副作用などで注意を要する第1種医薬品は、ネットでの購入が可能ですが、販売できるのは薬剤師のみで、書面による情報提供が義務付けられています。

第2種医薬品、第3種医薬品は、情報提供や対面販売の義務はなく、容易にドラッグストアやネットで購入できます。

ちょっとした風邪薬や鎮痛剤など、誰もが使用したことのあるような身近な存在といえるでしょう。

プラセンタ医薬品って?

プラセンタ製剤も、医療用医薬品と一般用医薬品に分類できます。

医療用、一般用医薬品ともに、プラセンタ製剤が医療分野で使用されることを総称して「プラセンタ療法」と呼んでいます。

新陳代謝の促進、自律神経やホルモンバランスの調整、免疫力の向上など、プラセンタの持つ様々な薬理作用を期待して販売・使用されているわけですね。

プラセンタの医療用医薬品

医療用医薬品は、一般的に効き目が強く、副作用のリスクも高いため、専門知識のある医師や歯科医師によって使用が指示されなくてはなりません。

プラセンタにおいては、医療用医薬品のみがヒト由来胎盤の使用を許可されていて、医療機関で病気の治療や症状の予防に使用されています。

プラセンタ製剤は、ヒト由来の胎盤から生理活性成分を抽出した医療用医薬品であることから、薬機法によって「特定生物由来製品」に分類されています。

特定生物由来製品の概念

現在、医療用医薬品に指定されているプラセンタ注射液はラエンネック(株式会社日本生物製剤)とメルスモン(メルスモン製薬株式会社)の2種類のみです。

また、医療機関限定で、ヒト由来のプラセンタ内服薬を取り扱っています。

ラエンネック

プラセンタの一般用医薬品

一般用医薬品は、「OTC医薬品」あるいは「市販薬」、「大衆薬」などともよばれます。

医療用医薬品とは異なり、一般の方が直接購入でき、ご自身の判断で使用する医薬品になります。

通常、安全性が確保できる成分が配合されているものに限ります。対面販売の義務はなく、インターネットでの購入も可能です。

リスクに応じて3つに分類されています。

  1. 一種医薬品

    副作用など安全性に関して、特に注意を必要とします。販売は薬剤師に限定され、書面による情報提供が義務づけられています。

  2. 二種医薬品

    副作用など安全性に関して、注意を必要とします。

    この中には、主な風邪薬や鎮痛剤など日常生活でもよく使用するものが多く含まれており、情報提供は努力義務となっています。

    滋養強壮や疲労回復などを目的としたプラセンタ製剤も多く、製薬会社が製造販売している錠剤やドリンク、軟膏などもあります。

  3. 三種医薬品

    副作用や相互作用など安全面において、リスクが比較的低い一般用医薬品です。情報提供に関して、法律上の規定はありません。

この中にもプラセンタを配合したドリンク剤などが含まれています。

プラセンタ医薬品とプラセンタサプリメントの違い

医薬品は効果効能を表記できるため、「サプリメントより効き目が高そう!」と漠然とイメージされる方も多いかもしれませんが、必ずしもそういうわけではありません。

サプリメントでも、高い効果が期待できるものがたくさんあります。実際に、高品質なプラセンタサプリメントと一般用医薬品のサプリメント製剤の成分を比較してみると、大きな違いがないという場合も結構あるようです。

Eriko's 豆知識

「どうしてせっかく高品質のプラセンタサプリメントなのに医薬品にしないの?」と思われた方、いらっしゃいませんか? 私は思いました(笑)

そこで調べてみたところ、いくつかの理由があることがわかったのです。

ご説明してきた通り、医薬品としての認可を受けて、製造販売するためには厚生労働大臣の承認が必要となります。そして、この承認を得るためには数千万~数億円という莫大な費用がかかります。

つまり、医薬品として承認され製造販売に至るまでには、長い時間と大きな手間と高いコストがかかるとわけなのですね。

そのコストは製品に上乗せしなければならないため、メーカーさんとしては高品質のものをより安く提供することが難しくなってしまいます。

加えて、医薬品だと取り扱いする場所が薬局などに限定され、インターネット販売ができないため(実際には販売してしまっているケースもあるようですが)、より多くの方々に製品をお届けすることができなくなってしまうのです。

医薬品としての認可を受けると、成分や含有量、製造方法などが厳格に規定されているため、時代のニーズや技術の進歩によって製品を容易にアップグレードできない、ということも理由として考えられます。

これらの理由から、プラセンタサプリメントは医薬品として認められないのではなく、あえてしていない場合が多いと推測されます。

「プラセンタ注射よりも手軽に、そして一般用医薬品よりも安く」、プラセンタサプリメントにはそのような意味があるのではないでしょうか?

クリニックで行われるプラセンタ療法

クリニックで行われるプラセンタ療法

具体的に、医療現場ではどのようにプラセンタが使用されているのかをご紹介します。

医療機関で処方されるプラセンタ

プラセンタの注射や内服薬は、医療の現場で病気に対して処方され、治療に使用されています。

プラセンタの持つ新陳代謝の促進、自律神経やホルモンバランスの調整、免疫力向上、抗アレルギーなど様々な薬理作用を期待して、病気の治療に用いられることを総称してプラセンタ療法といいます。

一般用医薬品(市販薬)やサプリメントに配合されているのは動物由来のプラセンタですが、医療機関で処方されるのはヒト由来のプラセンタです。

内服薬であっても、ヒト由来プラセンタの使用が許可されているのは医療用医薬品のみなので、医療機関以外での処方・購入は法律で禁じられています。

医療機関での治療では、基本的に定期的で継続的なプラセンタ注射が行われますが、症状が重い場合などには、注射と合わせて内服薬の処方が併用されることもあります。

定期的な通院が困難な場合にも、内服薬の使用はとても便利ですね。

プラセンタの臨床効果

プラセンタは、体内の病気だけでなく、身体の表面の病気(皮膚科系など)や精神的な病気や症状、そして美容など、とても広い範囲での有効性が期待できることが大きな特徴です。

従来の薬剤のようにピンポイントで作用を発揮するものではないので、内科の病気の治療をするためにプラセンタを使用していたら、病気の改善を実感すると同時に体調が良くなり、精神的にも安定し、お肌の調子が良くなる、というようなことも珍しくありません。

プラセンタが他の薬と異なる点は、“治す”というよりも“不調な部分を正常に戻す”という効果が期待できるところ。

必要以上の薬効を示さず、副作用を起こさないで、本来あるべき健康な状態に戻そうとする作用がプラセンタの大きな魅力だと思います。

プラセンタが保険適応となる病気

多岐にわたる効果が期待されるプラセンタですが、現在保険診療の対象となっている病気は、下記の3つに限定されています。

また、医療機関で処方される保険適応のプラセンタ注射薬は、ラエンネック(株式会社日本生物製剤)とメルスモン(メルスモン株式会社)の2種類のみとなります。

プラセンタの保険適応

肝機能障害や肝硬変など慢性肝疾患

ラエンネックの適応です。

プラセンタの活性酸素除去作用、免疫賦活作用、抗炎症作用などが働き、活性酸素が肝細胞にダメージを与えることを防いで、肝臓の炎症を抑え、肝機能の低下や肝硬変を改善すると考えられています。

慢性肝疾患の改善は肝臓がんの予防にもつながります。

更年期障がい

メルスモンの適応です。

更年期(閉経前後の45~55歳くらい)に起こる、顔ののぼせやほてり、発汗、不眠、抑うつ、肩こり、頭痛といった症状が日常生活に支障をきたすほどの状態になった場合を更年期障がいといいます。
(更年期障がいに対するプラセンタの効果はPart3の中に詳しく書いてあります。)

プラセンタの持つ、女性ホルモン分泌や自律神経をコントロールする作用が、更年期障がいの症状に役立つと考えられています。

乳汁分泌不全

メルスモンの適応です。

プラセンタそのものに催乳性(乳汁分泌を促進する作用)があると考えられており、認可されてからの約50年間、副作用もなく、多くの臨床効果が報告されています。

プラセンタが治療に使用される病気

保険診療の適応外であっても、医療の現場では医薬品として様々な病気の治療に使用されています。

全額自己負担の自由診療になってしまうので高くついてしまいますが、美容クリニックをはじめ多くの医療機関で、治療目的として医療用のプラセンタ注射を受けることができます。

自由診療でのプラセンタ注射の料金は、各医療機関によって異なりますので、受診前にきちんと確認しておきましょう。

1回に注射するプラセンタの量によっても金額が変わってきますので、症状や通院回数、予算などを医師とよく相談してくださいね。

プラセンタは非常に多くの病気に使用されているため、各分野の一例をご紹介していきます。(保険適応の病気は除く)

プラセンタが効果的な症状・病気 内科系

頭痛、慢性胃炎、胃潰瘍、胃弱、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、高血圧、低血圧、糖尿病、気管支喘息、慢性気管支炎、貧血、習慣性便秘など

婦人科

月経困難症(便秘、冷え性、月経痛など)、不感症、不妊治療、高プロラクチン血症など

皮膚科

アトピー性皮膚炎、皮膚潰瘍、湿疹、じんましん、ケロイド、乾癬、発毛促進、シミ、そばかす、シワ、たるみ、ニキビなど

耳鼻科

アレルギー性鼻炎、花粉症、メニエール病、めまい、耳鳴り、難聴など

外科、整形外科

慢性関節リウマチ、変形性関節症、関節炎、神経痛、肩こり、五十肩、腰痛、むちうち、外傷、下肢静脈瘤など

泌尿器科

前立腺肥大、膀胱炎など

眼科

アレルギー性結膜炎、角膜炎、白内障、視力低下、眼精疲労など

歯科口腔科

歯周病、歯槽膿漏、顎関節症、口内炎、味覚低下など

精神神経科

うつ病、神経症、自律神経失調症、不眠症、摂食障害、てんかん、パニック障害など

プラセンタにより軽減・改善が期待される症状

精力増進、滋養強壮、疲労感・倦怠感などの不定愁訴、抗がん剤や放射線治療の副作用、風邪やインフルエンザなど感染の予防、虚弱体質、二日酔いおよびその予防など

Eriko's 豆知識

プラセンタサプリメントの摂取では意味がないの?病院で処方される医療用プラセンタがあると聞くと、そちらの方がより効果的なんじゃないの?

プラセンタサプリメントを摂取しても意味がないんじゃない?と思ってしまうかもしれませんが、それは違います。

全ての方がプラセンタ注射を受けたり、医療機関専用の内服薬を処方してもらったりする時間や費用があるわけではありません。

プラセンタ摂取においては、「継続すること」がとても重要なポイントであり、ご自身の生活や目的に合ったプラセンタの使用方法を選択することが一番だと考えられます。

わざわざ医療機関に行かなくても、自分で選んで購入できるプラセンタサプリメントは、とても効率的なプラセンタの摂取方法だと思います。 (ただし選び方には気を付けましょう!詳しくはPart4-2でご説明する予定です。)

サプリメントのみでプラセンタを摂取しても良いですし、プラセンタ注射とサプリメントを組み合わせても良いと思いますよ。

無理のない範囲でプラセンタを健康と美容にうまく活用していただきたいです。

プラセンタ注射の種類

プラセンタ注射に使用されるのは、厚生労働省の認可を受けたプラセンタ注射薬のみです。

現在、国内では医療用医薬品である「ラエンネック」(株式会社日本生物製剤)と「メルスモン」(メルスモン製薬株式会社)の2種類で、どちらも原料はヒトプラセンタになります。

ラエンネックは肝機能改善薬として、メルスモンは更年期障害と乳汁分泌不全の治療薬として使用される場合のみ、保険が適応されます。

しかしそれ以外の症状でもご希望される場合、自由診療であればプラセンタ注射を受けることは可能です。

また、スーパープラセンタという注射薬もあります。

未認可ではありますが、ヒトプラセンタとへその緒(サイタイ)の2つを原料としてエキスを抽出したもので、通常のプラセンタ注射液の500倍以上の濃度があるとされています。

かなり高価なものですが、非常に長い持続力を発揮します。

プラセンタ製剤の比較

プラセンタ注射の方法

プラセンタ注射は病院、クリニックといった医療機関でのみ行われています。 方法としては、皮下注射、筋肉注射、ツボ注射、静脈注射・点滴注射があります。

皮下注射は、インフルエンザワクチンの接種などで行われる手法ですね。比較的少量を注入する際に選択されます。

少しずつ血管に吸収されていくため即効性は低いものの、プラセンタ成分が徐々に血流に乗っていくので持続性が高いことが特徴です。

筋肉注射は、皮下注射よりも深く針を刺して、筋肉に直接注入していく手法です。人によっては、注入の最中や注入後、その部位に鈍い痛みや重さが残ることもあります。

筋肉には血管が多いため、皮下注射よりも早くプラセンタ成分が血中に吸収されます。注入量も多くすることが可能ですし、即効性と持続性のバランスが良い方法と考えられます。

筋肉注射

ツボ注射は、主に身体のどこかに痛みやコリがあるときに選択される手法です。漢方でいうところのツボや反応点、西洋医学での圧痛点に針を刺してプラセンタ成分を注入します。

また、顔面にも用いられることがあります。 ハリ治療とプラセンタ成分の作用を組み合わせたような方法であるといえます。

ツボ注射

静脈注射、点滴注射は、投与方法としては認可されていませんが(非合法というわけではありません)、多くの施設で行われています。

プラセンタ成分が一気に血管に注入されるので持続性は低いのですが、全身に行き届くまでが早いので即効性という部分では最も期待でき、効果の実感が得られやすい方法です。

ただしこの手技は、安全性が確立されておらず、副作用の可能性が否定できないこと、即効性はある反面、体外へ排出されるまでの時間も短いこと、を理解しておきましょう。

プラセンタ注射の目的

プラセンタが医療の分野で使用されることを総称してプラセンタ療法と言い、その目的は大きく分けて治療と美容の2つに分けられます。

治療目的でのプラセンタ注射は、前述したように、肝機能改善、更年期症状や乳汁分泌不全の改善といった保険診療に留まりません。

新陳代謝の促進、自律神経やホルモンバランスの調整、免疫・抵抗力の向上などプラセンタの持つ様々な作用が多くの症状の改善に役立ちます。

具体的には、よく使用される症状として、疲れ・肩こり・腰痛・関節痛や冷え性、自律神経失調症、月経不順・月経困難症、アレルギー疾患、神経麻痺、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、膠原病などが挙げられます。

また、病気の治療だけでなく、健康状態の向上や維持にも有用とされています。最もニーズが高いのは、美肌効果を期待する美容目的なのではないでしょうか?

プラセンタ成分に含まれる成長因子の機能や、新陳代謝を促進しメラニン生成を抑制する働きなどにより、シミ、しわ、ニキビ、くすみ、肌荒れなどの改善が期待できるとされています。

プラセンタの美肌効果についてはPart3で詳しくご説明しています。

プラセンタ注射の治療を行う場合には、初期(開始1~2ヶ月)のうちは週に1~2回、その後は維持療法として1~2週間に一度のペースで続けていくことが多いようです。

プラセンタ注射のメリット

医療機関において医師による施術が受けられるため、安心感を得ることができますね。

また、万が一副作用が起こってしまった場合にも、迅速で適切な対応を受けることができるのも心配性の方にはピッタリかと思います。

使用されるのはヒトプラセンタのみですので、製剤としての安全性が確立されていることもメリットのひとつといえるでしょう。

経口摂取と異なり、胃や腸での消化・吸収の影響を受けないので、プラセンタ成分が直接血管内にもたらされ、より高い効果が期待できるのも注射ならではの特徴です。

プラセンタ注射のデメリット

適切な方法(皮下注射や筋肉注射、ツボ注射)では大きな副作用が起こることはほとんどありません。

しかし注射ですので、刺した部分の赤みや痛み、腫れは一時的ではありますが起こりえます。

稀に、発熱、悪寒、発疹などの症状が見られることがあり、この場合には直ちに注射をやめ、症状に対応します。

プラセンタ注射はヒトプラセンタを使用しており、タンパク質・アミノ酸が含まれているため、アレルギー反応や閉経後の月経再開が起こることもあります。これらはプラセンタ投与を中止することにより治まります。

認可されていない静脈注射・点滴注射では、血圧の低下、呼吸困難、けいれん、ショックなど重篤な副作用が出現したケースが報告されています。

他の薬剤と混合させたカクテル注射でも、薬剤同士の予想外の相互作用により同様の事態が起こる可能性があります。注射の方法や内容には充分に注意してくださいね。

また、一度プラセンタ注射を受けただけで効果を実感することは難しいと思います。ある程度、継続して体内のプラセンタ濃度を保つことが大切です。

それゆえ注射は通院が必要となるので制約が多く、可能な方ばかりではないでしょう。時間や労力を考えると、負担が大きいかもしれません。

同意書へのサインが必要!

プラセンタ注射を考えている際には、事前にご注意・ご理解していただきたいことです。

安全性が確立されているヒトプラセンタ製剤の注射ではありますが、受けるにあたっては同意書にサインが必要になります。

共通のものがあるわけではないので、医療機関ごとにプラセンタ注射を受ける初回時に署名することになります。

書式は統一されていませんが、内容はどこも同じようなもので、プラセンタ注射による効果や副作用、安全性についての説明が書かれています。

同意書

ここで何より重要なのは、「プラセンタ注射を受けた方は献血ができなくなる」ということです。

安全性は確かであるものの、未知なる感染症を予測して防ぐことはできないからです。

つまりプラセンタ注射を受けることによって、現時点では判明していない感染症にかかる可能性がゼロではないということですね。

署名前に医師からの説明を受けるとき、不明な点があればきちんと確認しておきましょう。

美容効果が注目されるあまり、気軽に始めてしまう方も多いようですが、プラセンタ注射は治療であり医療行為です。

注射の場所や方法、今後の治療計画などについて、丁寧に相談に応じてくれる医療機関や担当医師による治療を受けてくださいね。

しかし上記のことに当てはまるのは、ヒトプラセンタ注射を受けた方のみです。サプリメントや内服薬の使用者は対象となりません。

まとめ

やっと応用編までたどり着きましたね(笑)!
今回も、前半は医薬品についての難しい説明でしたので、そこで読みきることを諦めてしまった方がいらっしゃるかもしれませんが…

後半部分では医療機関におけるプラセンタの使われ方、種類、メリットやデメリットについて詳しくご紹介しています。

既にクリニックでプラセンタ注射を受けられている方はもちろん、これから始めてみたいと考えていらっしゃる方は必読だと思います!

Part4は3部構成となっており、次回Part4-2では、自宅で簡単にできるプラセンタ美容法について実際私が使用している製品も合わせてご紹介していきます。

今回ご説明したクリニックでのプラセンタ治療よりも、ずっとお手軽簡単に導入できる内容がてんこ盛りになる予定ですよ。

ぜひそちらも合わせて読んでいただけると嬉しいです♪

参考文献

脇坂英理子

著者プロフィール

脇坂 英理子

東京女子医科大学医学部を卒業。元々は麻酔科を專門としていたが、その後一般的な内科と美容内科・美容皮膚科も経験。現在は、医療・健康・美容などの知識を活かしライターとしても活躍中。

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