自宅用ピーリング剤の選び方女性医師が教えるピーリングケアの効果!

「ピーリング」は日本ではまだ歴史の浅い美容施術ですが、お肌の状態を改善する手段としてあっという間に広がりましたね。

今では、自宅で行えるピーリングケア化粧品も販売されており、美容好きの方々にとっては身近なスキンケア方法としておなじみかもしれません。

しかし、どんなに高い効果が期待される施術にも、注意点や副作用というものが必ず存在します。

知識のないまま安易に自分で行ってしまったり、経験やスキルの至らない不適切な施術を受けてしまったりすると、望む効果が実感できないばかりか、かえって肌トラブルが引き起こされてしまう可能性もあります。

そこで、今回はピーリング、特に「ケミカルピーリング」にスポットを当ててみることにしました。

種類や期待される効果などケミカルピーリングの一般的な基礎知識はもちろん、自宅・エステサロン・クリニックにおけるケミカルピーリングの施術方法や使用される薬剤について、それぞれのメリットやデメリットを詳しく説明していきます。

ご自身の状態に合った適切なピーリングで、美しく健やかなお肌を手に入れましょう!

ケミカルピーリングとは?

お料理をするときに使用する、野菜などの皮むき器をピーラーといいますが、これは、「剥く」という意味の英語「peel」が語源となっています。
つまり、ピーリングとは皮膚を剥くという施術なのです。

言葉だけ見ると随分恐ろしい印象を受けてしまいますが、実際には(当然ながら)無理に皮膚を剥ぎ取るわけではありません。薬剤によって化学的に、もしくはレーザーなどで物理的に、ダメージのない範囲でお肌の表面を除去していく施術になります。

レーザーピーリングやダイヤモンドピーリングといった物理的なピーリングの種類もありますが、今回のテーマは”ケミカルピーリング”ですので、そちらを詳しくご説明していくことにしましょう。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングとは、お肌の表面に酸性の薬剤を塗る施術のことです。薬剤が古くなった角質層を溶かし、奥でスタンバイしている新しい細胞が再生されることにより、ターンオーバーを正常化します。

本来であれば、お肌のターンオーバーは自然なサイクルで行われるものですが、加齢や紫外線などの外部刺激によってダメージを受けたお肌は、新陳代謝が正常に行われないことがあります。

お肌の新陳代謝がきちんと行われないと、古い角質層がどんどん蓄積されてしまい、丁寧なスキンケアをしても思うような効果が得られなくなってしまいます。

ケミカルピーリングはこうしたシミ・くすみ・質感などお肌の美容的改善をしてくれるのです。また、ニキビなど皮膚の病気の治療や、お肌の若返りを目的として行われることもあります。

ケミカルピーリングが効果的な肌トラブル

ケミカルピーリングは以下のようなお肌のお悩みに対して効果が期待されます。
医学的には、ケミカルピーリングはニキビ、小ジワ、小さなシミに対して推奨度が高いとされています。

ニキビ

医学的には尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)といいますが、炎症が起こる前の白ニキビ・黒ニキビ、炎症後の赤ニキビに対するケミカルピーリングの有効性が報告されています。

特に炎症前のニキビに効果的とされていますので、症状がひどくなる前に、塗り薬とともにケミカルピーリングで治療を行い、炎症化を抑えておきたいものですね。

ニキビ跡(凸凹、クレーター、瘢痕タイプ)

ニキビより強い薬剤を使用するケミカルピーリングで、ニキビ跡を治療したという報告があります。

しかし、日本国内での治療評価は定まっておらず、副作用などについて十分な説明を受けた上、きちんとした医療機関で施術を受けることをおすすめします。

毛穴

ケミカルピーリングによって、毛穴に詰まった角質や汚れを除去することが可能です。
その結果、毛穴の黒ずみが改善されたり、ニキビを予防したりすることもできます。

シワ(小ジワなど浅いタイプのもの)

シワには大きく分けて、真皮ジワと呼ばれる深いタイプのものと、表皮ジワや小ジワと呼ばれる浅いタイプのものがあります。

深く刻まれてしまった真皮ジワは完全に消すことが難しく、ボトックスやヒアルロン酸注射などの治療が必要。

しかし、主に乾燥が原因で生じる目元や口元など皮膚の浅い部分の小ジワに対しては、ケミカルピーリングが有効であるとされています。

ケミカルピーリングがお肌の再生を活性化させるため、何度か施術を繰り返すことによって、小ジワのある表皮が除去されお肌のキメも整えられるため「若返り」が期待できます。

小さなシミ

小さなシミであれば、ケミカルピーリングによってお肌のターンオーバーを促し、角質とともに表皮に蓄積されていたメラニン色素を除去することができます。

大きなシミの場合は、強い薬剤で深くまで浸透するピーリングにより改善されることがあるものの、施術後に色素沈着が起こる可能性もあります。

ソバカスは遺伝的要因が考えられるため、ピーリングにより一時的に色調が薄くなって改善されますが、直ぐに元通りになる可能性が高いです。

また、肝斑に関して、最近欧米ではピーリング剤とハイドロキノン(「お肌の漂白剤」として有名ですね)の併用療法が有効であると報告されています。

ただし、日本における治療の有効性は確率されていないため、効果的であるとは言い難いのが現状です。

ケミカルピーリングの種類:使用する薬剤

ケミカルピーリングに使用される、代表的な薬剤をご紹介します。
それぞれの薬剤は濃度によって効果も変わりますし、数種類の薬剤を組み合わせて使うこともあります。

AHA(アルファハイドロキシ酸)

AHAにはグリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸などがあり、果物に多く含まれることからフルーツ酸と総称されることもあります。

市販のピーリング化粧品からクリニックでのケミカルピーリングまで、幅広く使用されています。

主に角質層から顆粒層~基底層までの、いわゆる表皮部分の浅いピーリングで用いられることが多く、低濃度だと刺激も少なめです。
角質層の細胞同士の結合力を弱めて、皮膚を剥がれやすくする作用が特徴的ですね。

グリコール酸は分子が小さく浸透性が高いため、真皮層にまで作用が及ぶのでコラーゲン生成など小ジワ治療に有効です。

しかし、お肌の奥まで浸透させるためには高濃度にする必要があり、酸の成分による赤みや痛み、浮腫などが起こる可能性があるので使用方法や濃度には注意しなければなりません。

Eriko's 豆知識

グリコール酸の方がサリチル酸よりも価格設定も低くなっていることが多いです。なぜかというと、単純明快、原価が安いから。

もしかしたら超高級なグリコール酸があるのかもしれませんが、実体験としては断然グリコール酸の方が安いです。そこで、顔以外のピーリングもしたい場合には薬剤を賢く使い分けする方法がおすすめ!

施術の範囲によって料金が変わるクリニックでケミカルピーリングを受ける際、部位によって薬剤の選択を変えてしまうのです。

もちろん、ご自身のお肌の状態や診察・施術するドクターの判断にもよるかと思いますが、
・顔→サリチル酸マクロゴールピーリング
・身体(特に背中)→グリコール酸ピーリング
が良いのではないかと、個人的には考えています。

背中はセルフケアが難しく、皮脂腺も多いため、ニキビや毛穴の黒ずみなど意外と気付いていない肌トラブルが起こりやすい部位。

ですから、特に肌の露出が多くなる夏前の時期なんかには、ケミカルピーリングで背中のケアをするのは良い手だと思いますね。

しかし背中全体をピーリングするとなると広範囲になってしまい、広さで料金が変わるクリニックだと総額が結構高くなってしまいます。

万が一、グリコール酸で少し赤みやかゆみが出たとしても、背中であれば顔よりも許容できると思いませんか?

ご予算を低めに抑えて、より広い範囲のピーリングを受けたいとお考えの方は、ぜひこの方法を活用してみてください。

BHA(ベータハイドロキシ酸)

BHAの代表サリチル酸は、角質の柔軟化作用や蓄積した角質を溶解する作用があります。混ぜ合わせる基剤によって、サリチル酸エタノールもしくはサリチル酸マクロゴールとして使用されます。

水溶性のAHAと異なり油溶性なので、毛穴への浸透性が高く、毛穴のつまりやニキビ対策に有効な点が特徴です。

サリチル酸マクロゴールは角質層のみに作用するため、赤みやピリピリした痛みなどお肌への刺激が最小限に抑えられ高い効果が期待できるピーリング剤。クリニックでも広く治療に使用されています。

ちなみに私の場合

クリニックでケミカルピーリングを受ける場合には、お肌に優しいサリチル酸マクロゴールピーリングを選んでいます。
敏感肌の方でも、この薬剤であれば大丈夫なことが多いですよ。

私は、肌トラブルの治療というよりメンテナンスという感じで受けているので、余分な角質を取ってターンオーバーを促進したいな、という考えです。
メンテナンス目的であれば月に1回程度で十分だと思います。

TCA(トリクロロ酢酸)

TCAは、非常に強力な酸性の薬剤です。
お肌のタンパクと結合して、塗った部分にあえて軽いヤケドのような症状を起こします。
人間の皮膚の創傷治癒力を利用して、お肌の再生を促進するときに使用します。

低濃度のTCAはお肌の浅い部分、高濃度だと深い部分を剥離しますが、いずれにせよとても刺激が強いため、顔全体など広範囲のピーリングではなく、ニキビ治療などピンポイントで使われることが多い薬剤です。
医療機関でのみ使用が許可されています。

その他

ベーカーゴードン液、フェノールなどもピーリング剤として用いられます。
皮膚の深い部分まで作用させるときに使用される強い薬剤ですので、医療機関でのみ使用されます。

番外編:GREEN PEEL®(グリーンピール)

天然ハーブを使用した特殊なピーリングになります。
酸性の薬剤を使用しているわけではないので、”ケミカル”ピーリングには当てはまらないのですが、個人的に大好きです。
いつか機会があれば、経験談も含めご紹介したいと思います。

ケミカルピーリングの深さによる分類

皮膚のどのレベルまでピーリング剤が作用するかを剥離深度といい、それによって分類がされています。
症状などにより深さが選択され、使用される薬剤も異なります。

ケミカルピーリングの深さによる分類
  • 剥離深達レベル1:最浅層ピーリング
    表皮の角質層のみを剥離します。
  • 剥離深達レベル2:浅層ピーリング
    表皮の顆粒層から基底層の間までを剥離します。
  • 剥離深達レベル3:中間(深)層ピーリング
    表皮と真皮乳頭層の一部~全部を剥離します。
  • 剥離深達レベル4:深層ピーリング
    表皮と真皮乳頭層および網状層にまでの深さを剥離します。

剥離深度により使用される薬剤と濃度

最浅層~浅層ピーリングでは、

  • 20~30%のAHA(グリコール酸、乳酸)
  • 20~35%のサリチル酸
  • 10~20%のTCA

最浅層~中間(深)層ピーリングでは、

  • 50~70%のグリコール酸
  • 35~50%のTCA

中間(深)層~深層ピーリングでは、

  • ベーカーゴードン液
  • 88%以上のフェノール液

が使用される薬剤の目安となります。
なお、これは美容医療としてのケミカルピーリングの場合であり、自宅で行うホームピーリングやエステサロンでのピーリングには適応されません。

ケミカルピーリングの一般的な施術方法

ケミカルピーリングの施術の手順自体はいたって簡単です。

  1. クレンジング・洗顔でメイクやお肌の汚れ、油分を落とします。
  2. ピーリング剤を額→鼻→頬→顎の順に、顔の上から下へと塗布します。
    このとき、目の周りや粘膜は避けるようにしましょう。
    ニキビ治療などを目的として強い薬剤を使用し、ポイントでピーリングを行う場合には、顔全体ではなく部分的な塗布になります。
  3. 症状やピーリング剤によりますが、5~10分ほどそのままにします。
    特に気になる部分があれば、薬剤を重ね塗りすることもあります。
  4. 冷やしたガーゼやスポンジなどでピーリング剤を丁寧に拭き取ります。
    中和剤を使用して、お肌の酸化反応を止めることもあります。
  5. 洗顔料を使用せずに水洗顔でピーリング剤を完全に洗い落とします。
  6. お肌の赤みやピリピリ感が気になる場合には、保冷剤や冷やしたガーゼなどでしばらくパックします。
    保湿パックを行ったり、赤みが強い部分に軟膏を塗ったりしてケアすることもあります。

ちなみに私の場合

実際に私がピーリングを受けている様子を、オフィシャルブログに掲載してありますので、ご興味があればご覧ください。

→ 脇坂英理子オフィシャルブログ「おしえて~Ricoにゃん先生」Powered by Ameba

病院・クリニックで行われるケミカルピーリング

ケミカルピーリングは、厚生労働省により”医業”すなわち”医療行為”に該当すると明言されています。

つまり、治療としてのケミカルピーリングは医療機関でのみ許可されているということになりますね。

ケミカルピーリングによる治療が対象となる病気や症状としては、ニキビ、ニキビ跡、シミ、そばかす、小ジワ、色素沈着などが挙げられます。

また、お肌のターンオーバーを正常化して、くすみの改善やキメを細かくするなどエイジングケアとしても取り入れられています。

施術の方法

クリニックにより多少の違いがありますが、基本的には「ケミカルピーリングの一般的な施術方法」でご説明した流れで行われます。

また、ケミカルピーリングの後にパックやイオン導入などがセットで行われることも多いようです。

使用されるピーリング剤

医療機関におけるケミカルピーリングでは、ピーリング剤として指定されている全ての薬剤が高濃度で使用できるため、高い効果が期待できます。

ニキビ跡の治療などでは皮膚の深い部分にまで作用するピーリング剤が必要となります。作用が強く、剥離深達レベルの高いTCAやフェノールは、医療機関でしか使用できません。

通常のグリコール酸やサリチル酸マクロゴールを使用する場合にも、肌質や症状によって、担当のドクターが薬剤や濃度を選択してくれます。

メリット・デメリット

メリット

やはり専門の医師がお肌の状態に応じてオーダーメイドの施術をしてくれる、というのが医療機関でのピーリングにおける最大のメリットだと思います。

ケミカルピーリングといっても適正な薬剤や濃度には個人差がありますので、きちんと診察をしてから対応してもらえるというのは安心ですよね。

また、万が一ピーリングによる肌トラブルが生じた場合にも、適切な対処が望めることも医療機関ならではのメリットです。

ニキビやシワ治療としてのピーリングは医療機関でしか行うことができませんので、美容医療をご希望の場合には必ずクリニックか病院でピーリングを受けるようにしましょう。

安心・安全で効果的なピーリングを受けたいのであれば、私は断然クリニックでのピーリングをおすすめします。

デメリット

通院が面倒くさいこと、費用が高いことなどがデメリットでしょうか。
また、当然ながらドクターの経験やスキルによって、効果の実感に差が出てしまうことがあります。

ピーリングの症例数が多く、経験の豊富なクリニックもしくはドクターに施術してもらうのが安心でしょう。

ピーリング剤の効果の現れ方は人によって違う上、医療機関では強い薬剤を使用することがあるため、合併症のリスクが高くなる可能性も考えられますね。

エステサロンで行われるケミカルピーリング

エステサロンで行われるケミカルピーリングは美容目的であり、医療行為ではないため、治療目的で行うことは医師法により禁止されています。

あくまでも、お肌の状態を整えたり、メイクのノリを良くしたり、というフェイシャルエステの一環としての施術になります。

とはいえ、これは建前上のことで、実際には○○に効果があります!と謳い、医療機関と同じようなケミカルピーリングを行っているエステサロンも存在しているようです。

このあたりは、脱毛と同様グレイゾーンですね…。
エステサロンでケミカルピーリングを受ける場合には、事前のカウンセリングでしっかり疑問点を解決しておきましょう。

施術の方法

実際の施術に関しては、医療機関でのピーリングと大きな違いはないようです。
フェイシャルエステのひとつという位置づけのため、他のケアやマッサージなども同時に行われることも多いですね。

使用されるピーリング剤

施術を受ける方の安全を第一に考え、エステサロンでは作用の強いTCAとフェノールは使用しません。

明確な基準は定められていないのですが、グリコール酸については、pH3.0以上、濃度10%以下であればエステサロンでも使用してよいのではないかという厚生労働省の研究報告があります。

多くのエステサロンでは5%以下のグリコール酸を使用したピーリングが行われているとのことです。

アメリカの化粧品業界団体の自主規制では、エステサロンでのピーリング剤使用基準(AHAに限る)はpH3.0以上、濃度 30%未満とされています。

pH2.0以下、30%以上の高濃度のAHAを使用した場合、施術後の肌トラブル、合併症のリスクが激増するといわれているため、このような基準になっているのだと考えられます。

メリット・デメリット

メリット

医療機関よりもピーリングの価格設定が安いことが多く、気軽に受けられることがメリットなのではないでしょうか。

気分的にも、クリニックよりエステサロンの方が抵抗なく行けますよね(笑)
ピーリングだけではなく、フェイシャルエステのコースに含まれている場合が多いので、トータルの美顔ケアとして受けるのであれば合理的かもしれません。

デメリット

使用できる薬剤の種類や濃度が限定されているため、それほど高い効果は期待できないと考えられます。

特に、ニキビやニキビ跡、シミや小ジワなどはっきりとしたお肌のお悩みを治したいのであれば、エステサロンのケミカルピーリングは不向きです。

また、万が一トラブルが起こった際には、医療機関でないため、迅速かつ的確な対応が難しいでしょう。

熟練の経験豊富なエステティシャンの方であれば安全なケミカルピーリングを施行できるかとは思いますが、お肌に酸性の薬剤を塗るという行為は、ドクターが施行してもトラブルが起こってしまう可能性があります。

自宅でできるケミカルピーリング

自宅で行う、いわゆるホームピーリングが大変な人気ですね。

石鹸やスクラブ洗顔料、拭き取りローションや美容液など様々なスキンケア化粧品にピーリング専用のものがありますし、ネットでピーリング剤そのものが売られていたりもします。

市販のピーリング化粧品は、トラブルを起こさないように、医療機関やエステサロンで使用されるピーリング剤よりもかなり濃度が低めにつくられています。

そのため期待される効果もマイルドで、乱れたお肌のターンオーバーを促進するサポート、余分な角質を除去してお肌を柔らかくする、毛穴ケアによるニキビ予防など、少しスペシャルなスキンケアという認識で良いかと思います。

しかし、濃度が低いとはいえピーリング剤が配合されていますので、使用方法や頻度には気を付けてくださいね。
製品に記載されている方法を守り、注意事項をよく読んで、正しく使用しましょう。

そしてピーリングを行うと、お肌は乾燥しがちでデリケートな状態になりますので、ピーリング化粧品を使用する際には、保湿ケアと紫外線対策をしっかり行うことを心がけてください。

敏感肌の方が使う場合は、いきなり顔に使用せず、二の腕や太ももの内側でパッチテストを行ってお肌への刺激が強すぎないかを確認しましょう。

自宅用ピーリング剤の選び方

ピーリングが初めての方は、グリコール酸・乳酸・フルーツ酸などで古い角質を溶かす作用のある「AHA」がおすすめ。AHAは肌への浸透が浅く、刺激が少ないことが特徴だからです。

商品によっては肌を擦ってポロポロと落とすタイプもありますが、くり返し行うことで肌を傷つけたり、負担をかけたりするため、避けた方がよいでしょう。

肌に塗ってしばらく放置してから洗い流すジェルタイプやクリームタイプ、塗りっぱなしにする美容液タイプが使いやすくてオススメです。

施術の方法

製品によって使用方法は異なります。
通常と同じように洗い流すタイプの石鹸や洗顔料もありますし、塗ってからしばらく放置して拭き取るタイプ、もしくは塗ったままで良いタイプの化粧水や美容液もあります。

ご自身が使いやすく、日頃のスキンケアに取り入れやすいアイテムから試してみるのが良いと思います。

くれぐれも自己判断で使用する量や回数を増やしたりせず、決められた方法を守ってくださいね。

使用されるピーリング剤

一般的にピーリング化粧品に多く使用されるのは、主にAHAのグリコール酸になります。もちろんBHAが使用されているものもあるのですが、薬事法により0.2%しか配合できず、効果が期待しにくいため、AHA配合のものが主流となっているのです。

アメリカの化粧品業界団体の自主規制では、化粧品に配合するAHAの基準が、 pH3.5以上、濃度10%未満と定められています。

しかし、これはあくまでも白色人種に対応した基準のため、日本人が同じ配合のピーリング化粧品を使用した場合、肌トラブルが起こる可能性は高くなります。

AHA20%配合など濃度の高さが強調されている化粧品も多く見られますが、実際のピーリング効果としてはpHも重要なポイント。

pHの数値が低いほど酸性の度合いが強く、ピーリングの効果も実感しやすいということになるので、ピーリング化粧品を選ぶときの参考にしてみてください。

メリット・デメリット

メリット

ネット通販や近くのドラッグストアで手軽に購入でき、自宅で簡単に行えるのが何よりのメリットですね。
またセルフケアなので、コストを抑えることもできます。

さらに、医療機関やエステサロンでのピーリングのように間隔を空ける必要がなく、毎日使用できるものもあり、日々継続することで効果を実感していけるのも嬉しいポイントなのではないでしょうか。

デメリット

配合されているピーリング成分の濃度が低いため、劇的にお肌の状態が変わるわけではなく、それほど高い効果は期待できません。

また、使用方法をきちんと守れないと、大きなトラブルにつながる可能性があり、万が一トラブルが生じた場合、直ぐに対処できない点も心配ではあります。

ニキビや小ジワ、シミなどはっきりしたお肌のお悩みがあって治したいのであれば、医療機関でピーリングを受けて、ホームピーリングのための化粧品や使用方法などを教えてもらうのも良い手かもしれませんね。

ちなみに私の場合

基本的に今は、お肌のコンディションが気になったとき、たまにクリニックでピーリングを受けるようにしています。

ですが、以前ピーリングが自分の中ですごくブームで、手間暇かけてスキンケアしたがっていた時期には、ホームピーリングもがっつりやっていましたよ。

ヘレナ・ルビンスタインの「ポア ジーニアス インテンス プロトコール」が大好きで愛用していました。かなり前に絶版になっているみたいですが…フルーツ酸配合のピーリングローションと、その後に使うクレイマスクの組み合わせが大好きでしたね。

ヘレナ・ルビンスタインの「ポア ジーニアス インテンス プロトコール」

あとは、オバジのピーリング美容液「トリプルピール10」。
今はリニューアルかつバージョンアップされた拭き取り美容液「ピーリングV10エッセンス」になっているようです。

オバジのピーリング美容液「トリプルピール10」

5つの酸が配合されていて作用する深度も違いそうですし、毎日使えるくらいマイルドらしいので、試してみたいなぁと思ってしまいました。

今でもたまに使用しているのがjorbiの「GAフェイスクレンザー」と「GAローション」です。
どちらもグリコール酸配合のピーリング洗顔料とピーリングローションになります。

jorbiの「GAフェイスクレンザー」と「GAローション」

クリニックで治療に使用するピーリング剤を製造しているメーカーさんのコスメで、基本的には医療機関専売品らしいのですが、このご時世なので楽天やAmazonでも購入できるみたいです!

ピーリング前後のセルフケアにもぴったりなおすすめアイテムですよ。

まとめ

日頃のケアより少しスペシャルなスキンケアとして有用なケミカルピーリングについて、目的や効果、種類などご理解いただけたでしょうか?

ケミカルピーリングは、正しい方法で行えば、肌トラブルの治療だけでなく、予防にも有効な、とても優秀な美容法であると考えます。

「最近メイクのノリが悪いな」「何となくお肌のくすみが目立つような気がする」といった、トラブルにまで至らないちょっとしたお肌の悩みも、ケミカルピーリングで改善・解消することが可能です。

それだけに、ケミカルピーリングによるトラブルや副作用ばかりがクローズアップされてしまうのは悲しいことだと思っています。ご自分でケミカルピーリングをする際には必ず、信頼性の高い情報を元に、正しい知識を持って、適切な方法で行ってくださいね。

エステサロンやクリニックで施術を受ける場合にも、きちんと事前の説明を聞き、わからないことがあれば質問して、納得した上で信用できる人に施術してもらいましょう。

美容に興味を持ち、新しい施術にチャレンジする美意識と向上心は、女性にとって非常に大切ですよね。

やろうか止めようか悩んでいらっしゃるのであれば、迷わずやる方を選択していただきたいと、私は思います。

いつまでも美しくありたい女性にとって、この記事が少しでもお役に立てることを願いつつ。

あ…この記事を書きながら、そろそろ私もまたピーリングをやらなきゃ!と思った次第でございます。

参考文献

  • 日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン(改訂第3版)
    公益財団法人日本エステティック研究財団ホームページ「エステティックサロンにおけるケミカルピーリングの消費者危害防止策について(平成13年3月)」
    → ホームページはこちら
  • 厚生労働省ホームページ「医師法上の疑義について(回答)(◆平成12年06月09日医事第59号)」
    → ホームページはこちら

脇坂英理子

著者プロフィール

脇坂 英理子

東京女子医科大学医学部を卒業。元々は麻酔科を專門としていたが、その後一般的な内科と美容内科・美容皮膚科も経験。現在は、医療・健康・美容などの知識を活かしライターとしても活躍中。

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